化粧品・コスメ業界とメンバーシッププログラムの親和性
メンバーシッププログラムは、顧客の会員登録や商品購入に対して特典を与えることによって、企業・ブランドへのロイヤリティの向上、および顧客のLTV（顧客生涯価値）を高めるマーケティング施策です。
化粧品・コスメ業界とメンバーシッププログラムは非常に親和性が高いです。その理由には、以下のようなものがあります。
- 定期的に購入する製品が多いため、継続的な購入を促進する必要がある。
- 購入後に顧客が効果を実感するために、正しい美容の知識やテクニックが必要である。そのため、プロによるレクチャーや限定の情報提供など、顧客体験の特典との相性がいい。
- 個人の体質や好みによって推奨する製品も大きく変わる。メンバーシッププログラムを通して顧客の情報を引き出せる仕組みを作り、それらを活用してよりよりパーソナライズされた情報提供が必要になる。
この記事では、実際に化粧品・コスメ業界の企業・ブランドが、どのようなメンバーシッププログラムを実施していて、どういった点に工夫しているのかをまとめます。
IPSA meets | 株式会社 イプサ
IPSA meetsは、「出会いをかさね、わたしを次のステージへ。」をコンセプトに、株式会社 イプサが提供するメンバーシッププログラムです。
https://www.ipsa.co.jp/shop/point.html?lang=ja
IPSA meetsは、会員ランク（年間購入金額ベース）＋ ポイントシステム で構成されています。ポイントは購入で貯めることができ、貯めたポイントは1円=1ポイントとして購入時に利用することが可能です。
顧客のロイヤリティに応じた製品を会員ステージの特典として提供
IPSA meetsの特徴は、会員ステージの特典にあります。下位ランクではポイントやクーポンといった値引きによるお得感を得られる特典が中心ですが、上位ランクになると非売品の特製のハンドトリートメントやミラーといった製品を受け取ることができます。顧客のロイヤリティを反映した特典を用意することは、各会員ステージのお客様を深く観察した顧客満足につながるマーケティング施策だと思います。
また、会員ステージの条件や特典もシンプルで、何を満たせば何が得られるのかがひと目でわかることも特徴の一つです。
引用元：IPSA meets
SHISEIDOメンバーシッププログラム | 資生堂ジャパン株式会社
SHISEIDOメンバーシッププログラムは、「お客さま一人ひとりに寄り添い、常にパーソナルな体験をお楽しみいただく」をコンセプトに資生堂ジャパン株式会社が提供するメンバーシッププログラムです。
https://brand.shiseido.co.jp/user-guide.html
SHISEIDOメンバーシッププログラムは、会員ランク（ポイント数ベース）＋ ポイントシステムで構成されています。ポイントは購入やアクションで貯めることができ、貯めたポイントは、会員ランクを評価する「SHISEIDOマイル」と、商品購入時に利用できたり、限定商品と交換できる「Beauty Keyポイント」にわけられます。
ブランド共通IDを活用し、店舗やブランド間などあらゆる顧客接点の情報統合を実現
SHISEIDOメンバーシッププログラムの特徴は、ブランドやBeauty Key参加店舗とのポイント連携です。SHISEIDOメンバーシッププログラムは、株式会社資生堂のブランド共通ID*¹であるBeauty Key会員と連携しているため、すでにBeauty Key会員の場合はBeauty Key IDを使うことができます。Beauty Key会員ではない場合も、新規登録をするとBeauty Key IDが作成されるため、他のブランドやサービスにも同じIDでログインすることができます。
この仕組みを使って、資生堂では店舗・オンライン問わずBeauty Key参加店舗であれば、どこで購入しても共通のBeauty Keyポイントを貯めることができます。さらに貯めたBeauty Keyポイントは、資生堂の各ブランドの商品と交換することができたり、オンラインショップでの商品購入時の割引に活用できたりします。
オンライン・オフライン問わず共通のポイントが貯まり、さらにブランドを横断してポイントを利用することができるように、あらゆる顧客接点におけるデータの統合と深い顧客の理解、そして高い顧客体験を提供できるように設計されています。
*ブランド共通ID：自社がもつ複数のブランドサイトやサービスを横断して利用できる企業独自の会員ID
引用元：Beauty Keyとは？｜Beauty Key（ビューティーキー） by Shiseido／資生堂
クレ・ド・ポー ボーテ メンバーシッププログラム | 株式会社資生堂
クレ・ド・ポーボーテメンバーシッププログラムは、「お客さま一人ひとりに寄り添い、常にパーソナルな体験をお楽しみいただく」をコンセプトに資生堂ジャパン株式会社が提供するメンバーシッププログラムです。
https://www.cledepeau-beaute.com/jp/radiance-gift.html
クレ・ド・ポーボーテメンバーシッププログラムは、会員ランク（ポイント数ベース）で構成されています。ラディアントポイントと呼ばれるポイントは、購入やアクションで貯めることができ、年間の累計獲得ラディアントポイント数によってステージが確定します。ステージごとに特典として、記念品を受け取ることができます。
指定商品の購入にボーナスポイントを付与し、未体験の商品購入をモチベートする
クレ・ド・ポーボーテメンバーシッププログラムの特徴は、ラディアントポイントの貯め方にあります。ラディアントポイントは、購入100円ごとに1ポイント獲得に加えて、店舗への2回目の来店や、特定の商品を購入するとボーナスポイントとして加算されます。
特に、ボーナスポイントが付与される商品の対象が豊富に揃えられています。この仕組みによって、顧客が新しい商品への購入のきっかけをつくったり、ブランドとしても力を入れている商品の購入を促進したりできます。顧客としても商品を購入する際に目に見えてわかる特典が受けられるため、新しい商品の購入をモチベートし、購入の幅が広がります。
引用元：ラディアンスギフト 2024 | クレ・ド・ポー ボーテ公式サイト
KATE メンバーシッププログラム | 株式会社カネボウ化粧品
KATEメンバーシッププログラムは、「メイクの可能性を広げる」をコンセプトに株式会社カネボウ化粧品がKATE TOKYOで提供するメンバーシッププログラムです。
https://www.nomorerules.net/zone/membership/
KATEメンバーシッププログラムのメンバーシッププログラムは、会員ランク（ポイント数ベース）＋ STAMPシステムで構成されています。会員ランクの評価となるKATE POINTはメイク体験で獲得することができ、商品を獲得できるKATE STAMPは花王公式通販サイト「My Kao Mall」での商品購入500円につき1STAMP貯めることができます。
ランクはメイク体験の実施数のみで評価。パーソナライズされた商品提案に活かす。
KATEメンバーシッププログラムの特徴は、KATE POINTの貯め方にあります。KATE POINTは「KATE ZONE」と呼ばれる没入体験型ECストアでのメイク体験を実施することや、その他顧客のアクションで貯まります。ランクはKATE POINTで評価されるため、商品の購入は一切関係がない点が非常にユニークです。
「KATE ZONE」でのメイク体験はさまざまな種類がありますが、その1つの「FACEHACK」では、スマートフォンで顔写真を撮影すると、目の角度やフェイスライン、黄金三角比などを細かく分析します。分析によって、顔タイプを診断し、その顔タイプでのオススメのメイクアップを顔写真に合わせて提案します。それらを実施する際に必要なKATEの商品をレコメンドし、顧客が気に入ればそのまま購入することも可能です。
引用元：KATE ZONE
メンバーシッププログラムにはランクに合わせた特典も用意されています。1つも商品を購入しなくても、それらの特典を受け取ることも可能です。しかし、実際にメイク体験をすることで、顧客1人1人にパーソナライズされた商品を推奨できるからこそ、購入に至る確率も上がると考えられます。さらに、「メイクの可能性を広げる」というコンセプト通り、自分にあったメイクの方法などの新しい情報を知ることができるため、顧客のロイヤリティの向上も期待できます。
アンファーブルーメンバーズ | アンファー株式会社
アンファーブルーメンバーズは、アンファー株式会社が提供するメンバーシッププログラムです。
https://www.angfa-store.jp/guide/membership
アンファーブルーメンバーズのメンバーシッププログラムは、ポイントシステムで構成されています。ポイントは購入や誕生日などによって付与され、貯めたポイントは商品購入時や提携クリニック・ヘアサロンで1ポイント=1円で利用することができます。
定期購入をランクの条件にして、長期的な関係構築ができる顧客を優遇する
アンファーブルーメンバーズの特徴は、会員の条件にあります。条件は、何らかの商品を定期購入されている方、もしくは特定の商品を購入されたことがある方です。アンファーの商品は、スカルプDに代表されるように長期的に使い続けることで効果を発揮する商品が多く揃っています。また、消耗品のため定期的に買い足しをする必要があり、定期購入のニーズも多くあります。
ブランド側としても、LTVを高めることが売上向上に大きく影響するため、長期的な関係構築ができる顧客を優遇するメンバーシッププログラムの設計になっていると感じます。
引用元：アンファーブルーメンバーズ
まとめ
化粧品・コスメ業界に焦点をあてて、各ブランドのメンバーシッププログラムの特徴をご紹介しました。顧客にパーソナライズされた情報提供を実施することや、定期的にリピート購入を実施してもらうといった、業界のマーケティング課題に対応したユニークなメンバーシッププログラムを設計していることが伺えました。
リワイアでは、Shopifyでメンバーシッププログラムを導入できる会員ランクアプリ「らんキィ」とポイントアプリ「どこポイ」を提供しています。また、メンバーシッププログラムの設計を複数のパターンに分け、希望のパターンを選択いただくことで簡単に導入できるようサポートも実施しています。
メンバーシッププログラムの導入をご検討中の場合は、お気軽にご相談ください。
