食品・飲料メーカー業界とメンバーシッププログラムの親和性
メンバーシッププログラムは、顧客の会員登録や商品購入に対して特典を与えることによって、企業・ブランドへのロイヤリティの向上、および顧客のLTV（顧客生涯価値）を向上させるマーケティング施策です。
食品・飲料メーカー業界は、以下のような背景からメンバーシッププログラムとの相性は良いです。
- ユーザーの意見やインサイトを商品開発や改良に直接活かすことができる
- 開発者の商品開発秘話や工場体験など、普段触れることのないコンテンツを提供し、ロイヤリティ向上が期待できる
- 従来の小売店を通じた間接的なコミュニケーションから、直接的なコミュニケーションの実現が可能になり、ロイヤリティを醸成する施策を実施しやすい
この記事では、実際に食品・飲料メーカー業界の企業・ブランドが、どのようなメンバーシッププログラムを実施していて、どういった点に工夫しているのかをまとめます。
with Glico | 江崎グリコ株式会社
with Glicoは、「知る、楽しむ、仲間とつながる！ 毎日に元気を届けるGlicoの『まち』」をコンセプトに江崎グリコ株式会社が提供するメンバーシッププログラムです。
https://with.glico.com/about/index.html
with Glicoは、会員ランク（ポイントベース）+ ポイントシステムで構成されています。ポイント（with Glicoでは、ハート）は、ゲームで遊んだり、書き込みや投稿によって貯めることができます。貯めたポイントによって、キャンペーンへの応募やファンミーティングなどのイベントに応募することができます。また、3ヶ月ごとに期間内の累計獲得ポイント数に応じて会員ランクが確定し、ランクに応じてボーナスポイントを受け取れます。
コミュニティ型のメンバーシッププログラムで顧客の声を収集
with Glicoの特徴は、ポイントの貯め方にあります。with Glicoは、「まち」をコンセプトにしたコミュニティサイトです。その中にある「まちのニュース」や「おしゃべりカフェ」では事務局が提供する新着情報やトークテーマについて、会員が投稿を行ったり、他の会員の意見にコメントができ、それらを実施すると最大300ポイントを受け取ることができます。投稿ではなくとも、新着情報や投稿にいいねのリアクションをするだけでも最大20ポイントを受け取れます。
情報やトークテーマは、グリコに関する情報や、食に関するものが大半です。それぞれ数百〜数千の投稿やいいねのリアクションがついていて、これらは企業にとってはアンケート調査と同じくらい貴重な顧客の声になります。
コミュニティを絡めたメンバーシッププログラムを通して、顧客には会話や情報提供を楽しんでもらい、企業側は顧客の率直な意見や顧客の興味のある情報を収集していることが伺えます。
プレモルメンバーズ | サントリーホールディングス株式会社
プレモルメンバーズは、サントリーホールディングス株式会社が提供する「ザ・プレミアム・モルツ（以下、プレモル）」のメンバーシッププログラムです。
https://www.suntory.co.jp/beer/thepremiummalts/members/
プレモルメンバーズは、会員ランク（購入回数） + ポイントシステムで構成されています。会員ランクは、プレモル各種商品に貼付されている応募シールをスマートフォンで読み込み、シリアルナンバーを登録した「日数」（1日1回の読み取り）によって変動します。また、シリアルナンバーを読み取ると、抽選でポイント（プレモルメンバーズでは、マイル）を獲得できます。貯めたポイントは、商品と交換することが可能です。
商品の顧客層に合わせてブランドごとにメンバーシッププログラムを展開
サントリーホールディングス株式会社のメンバーシッププログラムの特徴は、プレモルメンバーズを筆頭に、各商品に独自のメンバーシッププログラムを展開している点です。
プレモルメンバーズの他にも、「特茶」独自のTOKUCHA Glod Members や、「シングルモルトウイスキー山崎」独自の山崎倶楽部などのメンバーシッププログラムがあります。
https://www.suntory.co.jp/softdrink/iyemon/tokucha/goldmembers/
https://www.suntory.co.jp/whisky/yamazaki/yamazaki_club/
TOKUCHA Glod Membersでは、各種特茶商品に記載されているQRコードを読み取るとクーポンや特典と交換できるポイントが貯まります。
引用：LINE会員サービス TOKUCHA Gold Members - 体脂肪を減らすのを助ける -特茶TOKUCHA
山崎倶楽部には、会員ランクやポイントシステムはないですが、会員になると会員限定キャンペーンへの応募や参加が可能になります。
これらの商品はそれぞれ対象としている顧客層が異なるため、ブランドごとにメンバーシッププログラムを展開し、顧客にあった特典を用意しています。
コカ・コーラ会員 | 日本コカ·コーラ株式会社
コカ・コーラ会員は、日本コカ·コーラ株式会社がCoke Onアプリを通じて提供するメンバーシッププログラムです。
コカ・コーラ会員は、ポイントシステムで構成されています。ポイント（コカ・コーラでは、スタンプ）は、自動販売機での購入によって貯めることができ、ポイントが一定数貯まると1本無料でドリンクを獲得することができます。
売上構成比が最も高い自動販売機に限定し、メンバーシッププログラムを展開
コカ・コーラ会員の特徴は、ポイントの貯め方と利用方法です。Coke Onアプリ対応の自動販売機でスマホをかざしてドリンクを買うと、ポイントが1つ貯まります。貯まったポイントはドリンクチケットに交換でき、こちらも自動販売機で利用することができます。
引用元：Coke ON（コーク オン）- おトクで楽しいコカ･コーラ公式アプリ
コカ・コーラ社は、1962年に日本で初めて自動販売機を導入し、2024年現在は国内No.1の約70万台* の導入数で、自社の売上の9割が自動販売機経由です。また、2002年から携帯電話の赤外線技術を活用したキャッシュレス決済に対応しており、自動販売機とモバイルの掛け合わせをどこよりも早く、多く活用している企業です。オムニチャネル化が進む現代ですが、このような背景も踏まえて、あえてメンバーシッププログラムの内容も自動販売機に限定している点が特徴です。
*参照：https://www.ccbji.co.jp/corporate/activity/
Qummy| キユーピー株式会社
Qummyは、キユーピー会社が提供するメンバーシッププログラムです。
https://qummy.kewpie.co.jp/pages/about
Qummyのメンバーシッププログラムは、会員ランク（ポイントベース） + ポイントシステムで構成されています。ポイントは、商品購入やアンケート回答で貯めることができ、貯まったポイントはオリジナルグッズやクーポンと交換することができます。
ポイントの共通化によってサービスや商品購入を横断して利用でき、顧客ロイヤリティを向上させる
Qummyのメンバーシッププログラムの特徴は、キユーピーのサービス「 Hi! kewpie 」とのポイント共通化です。QummyとHi! kewpieは、共通IDを使ってログインすることができるため、貯めたポイントをどちらのサービスでも利用することが可能です。
Hi! kewpieは、ログインによって1日1回押すことのできるポイントカードやメルマガの登録によってポイントが貯まります。Hi! kewpieには、各商品を使ったレシピの紹介や野菜の保存方法といったコンテンツが用意されており、商品購入だけにとどまらず商品周辺の情報提供においてもポイントが貯まる仕組みを設計しています。
まとめ
食品・飲料メーカー業界に焦点をあてて、各ブランドのメンバーシッププログラムの特徴をご紹介しました。食品・飲料メーカー業界では、以下のような特徴が見受けられました。
- コミュニティを展開していたり、アンケートで特典がもらえたり顧客の声を収集できるような設計が多い。
- 商品をより活用できるような情報提供や、特典を用意。
- 各商品ごとに個別のプログラムも実施して、顧客層に合わせたプログラムを展開。
リワイアでは、Shopifyでメンバーシッププログラムを導入できる会員ランクアプリ「らんキィ」とポイントアプリ「どこポイ」を提供しています。また、メンバーシッププログラムの設計を複数のパターンに分け、希望のパターンを選択いただくことで簡単に導入できるようサポートも実施しています。
メンバーシッププログラムの導入をご検討中の場合は、お気軽にご相談ください。
