「ポインサイト」によって企業が顧客理解を実施するようになる

「ポインサイト」によって企業が顧客理解を実施するようになる

ヒット商品は自社ではなく顧客から生まれる時代がやってくる Reading 「ポインサイト」によって企業が顧客理解を実施するようになる 1 minute

本記事はトレンドについて発表するマーケティングセミナー「別冊よげんの書 メンバーシップファーストの時代」で取り上げたトピックの解説記事です。セミナーでは6つのトピックを取り上げています。セミナーのアーカイブ動画や、詳細データを掲載している講演資料の請求も承っています。本ページ下部のリンクよりご請求ください。

著者:東口 美睦(Higashiguchi Michika)
加藤英也氏の写真
株式会社フィードフォースに新卒入社。EC広告の支援やEC/Shopify関連のメディア運営を実施したのちに、グループ会社の株式会社リワイアに参画。現在は、ポイントアプリ「どこポイ」や会員ランクアプリ「らんキィ」のプロダクトマネージャーを担当。ポイントや会員ランクを活用したメンバーシッププログラムの実施を支援。

「5大ポイント経済圏」時代到来。ポイントの日常化はさらに進む。

2024年4月に、三井住友カードのVポイントに共通ポイントのTポイントが統合されました。これにより、Vポイント・ドコモ・PayPay・au・楽天の経済圏が確立し、5大ポイント経済圏時代が到来しています。これらの企業は、他社との連携を強めて経済圏外でもポイント獲得の機会を増やす「開国的施策」と、自社サービスの利用回数や金額の多いロイヤルカスタマーを優遇して囲い込む「鎖国的施策」を同時に進めることで、顧客数を増やしながら顧客を維持する動きを実施しており、ポイントはますます複雑化しています。

参照:日経クロストレンド -「楽天、PayPay、ドコモ、Vポイント・・・ 「得」の常識が変わった


JR東、Suicaとタッチ起点で広告配信 JRE POINTとも連携

これらの5大経済圏が消費者のポイント利用を進めるなかで、各社も独自のポイントを活用することで自社の認知や売上を上げる施策を実施しています。JR東日本グループが提供する共通ポイント「JRE POINT」もその一つです。「JRE POINT」の特徴は、ポイント履歴データを自社のアドネットワークに活かしている点です。

JR東日本はサービスを横断し顧客の行動データを1つにまとめて、それらのデータを分析し広告配信のセグメントなどに活かしています。例えば、JR駅ビル内の各店舗やECサイト「JRE MALL」などでの「誰が・いつ・どこで購入したか」といった購入履歴や、ポイントの付与・利用履歴などのデータです。

特にポイントは付与方法や利用方法が多様に存在するため、購入以外の顧客データを取得できる点が他のデータとの違いです。ポイントを起点に、顧客のインサイトを取得できています。まさにポイントによるインサイト「ポインサイト」の先駆けといえるでしょう。

参照:日本経済新聞 - 「JR東、Suicaタッチ起点で広告配信 JRE POINTとも連携


企業やブランドでも、ポイントによるインサイト獲得は増加

このような「ポインサイト」は会員数が膨大な大規模企業に限った施策のように見えがちですが、実は企業のブランド単位でも活用できるもので、実際に導入しているブランドも存在します。その1つが「ユナイテッドアローズ」です。

ユナイテッドアローズのメンバーシッププログラムは、ポイントを購入による還元だけではなく、アクションによる還元が多いことが特徴です。例えば、LINEアカウントの連携やメルマガ登録を行うと、ポイントが付与されます。それ以外にも、アンケートへの回答やお気に入りの商品やスタッフを登録するとポイントが付与される仕組みです。これらのデータは、顧客の趣味嗜好を表す深いレベル、まさにインサイトになります。

さらにユナイテッドアローズはこれらのデータを分析して、LTV向上やマーケティングに活かしているといいます。例えば、店舗とECに来る顧客に店舗で使えるクーポンを配布したり、広告配信のセグメントに利用したりするなどです。

参照:
・日経クロストレンド - ユナイテッドアローズ、会員制度刷新 単なる「値下げ」からの脱却
・株式会社オプト - LTV向上を目指した先進的な広告配信。オプトの「伴走力」と「推進力」とは

このように企業はポイントを起点としたインサイト獲得「ポインサイト」をますます活用していくようになると考えられます。

 


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