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酒ガチャのクランド ヒット商品の裏側にはファンコミュニティが
お酒の通販クランド(KURAND)をご存知でしょうか? お酒の詰め合わせがランダムで届く「酒ガチャ」や、アイスクリームにかける専用の果実酒「罪-TSUMI-」シリーズなどの数々のヒット商品を生み出し、20〜30代を中心に支持を集めています。そんなクランドのヒット商品の裏側には、クローズドなファンコミュニティの存在があります。クランドは、ファンコミュニティの中でユーザー同士が行う会話から日々意見を収集したり、定期的にユーザーインタビューを実施しています。それらの内容と、デモグラフィック(年齢や性別などの属性)や購入履歴などから分析したユーザーの趣味・嗜好データも活用し、新商品の開発やECサイトの改善に役立てているようです。
参照:日本経済新聞 -「酒ガチャ」でヒット 酒通販のクランド、若者呼び込む
ヒット商品を生み出し続けるコミュニティ「LEGO IDEAS」
クランドの事例はユーザーの声を商品開発に生かすものでしたが、ユーザーのアイデアがそのままヒット商品になる例もあります。その代表例がブロック玩具のLEGOが運営するコミュニティ「LEGO IDEAS」です。2014年から開始された「LEGO IDEAS」は、ユーザーがLEGOを使って作成した作品をアイデアとして投稿することができるサイトです。投稿された作品は一般公開され、他のユーザーが投票をすることができます。投票数が多いアイデアは実際にその作品を作れるパッケージとして商品化されます。
これまで、猫のフィギュアやグランドピアノ、ディズニー映画に出てくる建物や船など、さまざまなアイデアが商品化されて、ヒット商品へと成長しています。このように、ユーザー参加型のプラットフォームを構築することで、企業は顧客のニーズを直接取り込んだ商品開発を実現しています。
AIでの新商品開発 鍵となるのはユーザーの声
さらに近年は、新商品のアイデアにAIを活用する企業も増えてきています。実際、ローソンではIT(情報技術)を使った商品開発にも取り組み始めていて、主にAIを使ってアイデアを出すことを検討しているとのことです(日本経済新聞)。
AIで出てくるアイデアには斬新さや独創性が溢れているようにみえますが、そのアイデアの基は人から生まれるあらゆるデータの数々です。AIはそれらの多様なデータを組み合わせて、人の想像を超える発想を提案してくれます。
そのような仕組み上、ユーザーにニーズのある商品を探る際には、実際に使用するユーザーの声が必要になります。つまり、AIでヒット商品を出すには、ユーザーの声やデータを集め、それらから生み出す他ありません。
そのため、ファンコミュニティのようなユーザーが日々意見を投稿する場所はAI活用にとっても非常に重要な要素になります。今後は、企業だけではなくユーザーがヒット商品を生み出すようになるのではないでしょうか。
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