家具・家電業界とメンバーシッププログラムの親和性
メンバーシッププログラムは、顧客の会員登録や商品購入に対して特典を与えることによって、企業・ブランドへのロイヤリティの向上、および顧客のLTV(顧客生涯価値)を向上させるマーケティング施策です。
家具・家電業界は、以下のような背景からメンバーシッププログラムを取り入れている企業が多いです。
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商品の選択から購入後のサポートまでを包括的にカバーする必要があるため、レビューや特典といった価値提供と相性が良い。
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ライフステージごとに需要が発生するため、長期的な関係構築とパーソナライズされた情報提供が重要になる。
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イベントや会員ページを通して、商品の特徴や使い方などを伝えることができる
この記事では、実際に家具・家電業界の企業・ブランドが、どのようなメンバーシッププログラムを実施していて、どういった点に工夫しているのかをまとめます。
IKEA Family | イケア・ジャパン株式会社
IKEA Familyは、「世界最大の家族のためのホーム」をコンセプトにイケア・ジャパン株式会社が提供するメンバーシッププログラムです。
https://www.ikea.com/jp/ja/ikea-family/about/
IKEA Familyは、会員ランクやポイントシステムは取り入れておらず、会員登録をするとメンバー特典を受けられます。メンバー限定価格で商品を購入できたり、IKEA店舗でドリンクバーを利用できたり、お誕生日にクーポンがもらえたりします。
一時的なお得感と長期的な繋がりを組み合わせて、ライフステージ全体で購入促進
IKEA Familyの特徴は、割引といった金銭的な特典と、ワークショップなどの体験の特典を組み合わせている点です。メンバー限定価格での購入や誕生日クーポンの配布は、すぐに購入で使えて、一時的に購入を促すことができます。一方で、インテリアのアイデアや収納のコツを紹介するワークショップ・イベントや、専任スタッフによるインテリアプランニングサービス(有料)などでは、IKEAの商品の特徴や世界観を伝えることができ、家具の購入をする際にIKEAを選んでもらえるような長期的な関係構築を期待できます。
家具は、購入頻度は少ないもののライフステージごとに必ず発生する需要であるため、購入する際の一時的なお得感に加えて、長期的につながることができる設計にしていることが伺えます。また、このような制度設計だけでなく、メンバーシッププログラムには「お客様とどのような関係を築いていきたいのかを明示するコンセプト」がとても大切であることもIKEAの事例を見ると実感します。
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ニトリメンバーズ|株式会社ニトリ
ニトリメンバーズは、株式会社ニトリが提供するメンバーシッププログラムです。
https://www.nitori.co.jp/service/memberscard/
ニトリメンバーズは、ポイントシステムで構成されています。ポイントは購入で貯めることができ、貯めたポイントは1ポイント=1円で購入時に利用することができます。
保証や配送・購入頻度といった商材ならではの特性を特典に
ニトリメンバーズの特徴は、保証の手続きや配送の手続きなどが簡単にできるようになる点です。保証は、会計時に会員証を提示するだけで、1年保証・5年保証が自動で受けられます。さらに、配送手続きも会員証の提示で登録がスムーズになります。保証や配送といった家具商材ならではの付加価値をメンバーシッププログラムにうまく組み込んでいます。
さらに、ポイントの有効期限も翌年の年度末までで最長2年間と比較的長めに設定されています。家具の購入頻度はあまり高くないため、ポイントの有効期限もリピートを検討する期間で設定していることが伺えます。
引用元:ニトリメンバーズの会員特典|ニトリメンバーズ会員|サービス|ニトリ公式企業サイト
ヨドバシ・ドット・コム会員 | 株式会社ヨドバシカメラ
ヨドバシ・ドット・コム会員は、株式会社ヨドバシカメラが提供するメンバーシッププログラムです。
https://www.yodobashi.com/ec/support/member/function/index.html
ヨドバシ・ドット・コム会員は、ポイントシステムで構成されています。ポイント(ヨドバシ・ドット・コム会員では、ゴールドポイント)は購入などで貯めることができ、貯めたポイントは1ポイント=1円で購入時に利用することができます。
コミュニティでユーザー間での情報共有を活発化し、購入を促進
ヨドバシ・ドット・コム会員の特徴は、コミュニティサイトである、ヨドバシコミュニティを利用できる点です。ヨドバシコミュニティでは、ユーザーが商品のレビューを投稿・閲覧できたり、購入前に迷っていることを質問できるQ&A機能を使うことができたりします。また、ユーザーをフォローすることでそのユーザーのレビュー投稿などのアクティビティを確認することもできます。ヨドバシカメラで購入した商品のレビューを投稿したり、Q&Aに回答し条件を満たすとポイントが貯まります。
家電は、購入検討時間が長く、レビューといった実際の使用している人の声が参考にされやすい商材です。レビュー投稿を促進するために、ポイントやコミュニティをうまく活用しています。
また、レビューも信頼感のある内容である必要があり、信頼できるユーザーをフォローできる機能も魅力的です。ヨドバシカメラ独自のコミュニティを活性化させることで、自社での購入を促していることが伺えます。
ビックカメラ.com会員 | 株式会社ビックカメラ
ビックカメラ.com会員は、株式会社ビックカメラが提供するメンバーシッププログラムです。
https://www.biccamera.com/bc/c/info/menu/index.jsp
ビックカメラ.com会員は、ポイントシステムで構成されています。ポイント(ビックカメラ.com会員では、ビックポイント)は購入などで貯めることができ、貯めたポイントは1ポイント=1円で購入時に利用することができます。
外部サービスと提携でタッチポイントを増やす
ビックカメラ.com会員の特徴は、ポイントの提携先が豊富なことです。例えば、JR東日本のJRE POINTや、JALのマイルをビックカメラポイントに交換できたり、逆にビックカメラポイントを電子マネーSuicaや、JR西日本グループのWESTERポイントに交換できたりします。
家電は購入頻度の少ない商材のため、再購入時に自社ストアを選んでもらうことが一層重要です。外部サービスと提携することでポイントを貯めやすくして再購入の機会を作ったり、顧客のタッチポイントを増やして再購入時に第一想起させることが期待できます。
引用元:提携先とのポイントサービス │ ビックカメラ.com
まとめ
家具・家電業界に焦点をあてて、各企業・ブランドのメンバーシッププログラムの特徴をご紹介しました。家具・家電業界では以下のような特徴が見受けられました。
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保証や配送などのアフターサービスなど、商材に合わせた特典を充実させている
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ワークショップやレビューの投稿など、商品の情報を購入前や購入後に提供できるように設計している
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自社アプリや外部提携を通して、顧客とのタッチポイントを増やしている
また、同業種であってもIKEAは「お客様との長期的なつながり」を、ニトリは「お客様に安心して購入いただけること」を、ヨドバシカメラは「コミュニティによるお客様同士のつながり」を、ビックカメラは「お客様とのタッチポイントを増やすこと」を、それぞれ重視する点の差別化がなされていること、そのためのプログラム設計がされていることが興味深いポイントでした。
リワイアでは、Shopifyでメンバーシッププログラムを導入できる会員ランクアプリ「らんキィ」とポイントアプリ「どこポイ」を提供しています。また、ブログでご紹介している各社の事例を参考にしながら、メンバーシッププログラムの設計を複数のパターンに分け、希望のパターンを選択いただくことで簡単に導入できるようサポートも実施しています。
メンバーシッププログラムの導入をご検討中の場合は、お気軽にご相談ください。