メンバーシッププログラムの設計|5つのタイプの特徴を徹底解説

メンバーシッププログラムの設計|5つのタイプの特徴を徹底解説

メンバーシッププログラムとは?

メンバーシッププログラムは、顧客の会員登録や商品購入に対して特典を与えることによって、企業・ブランドへのロイヤリティの向上、および顧客のLTV(顧客生涯価値)を向上させるマーケティング施策です。会員プログラムともよばれ、顧客体験の向上を図るロイヤリティプログラムの1つです。

メンバーシッププログラムの内容は、購入金額や購入回数によって会員ランクを評価して特典を付与したり、購入やアクションによってポイントを付与したり、その両方を組み合わせるなど様々です。一般的なメンバーシッププログラムのタイプは5つに分けられます。

  • タイプ1:会員ランク+ポイントシステム
  • タイプ2:会員ランクのみ
  • タイプ3:会員ランクのみ(ポイントベース)
  • タイプ4:ポイントシステムのみ
  • タイプ5:有料会員制度

これらのタイプは、企業・ブランドの商材や顧客層によって相性が変わります。さらに目的によっても柔軟に設計することが求められます。本記事では、各タイプの特徴や顧客と企業・ブランドそれぞれのメリット、導入事例をまとめます。


タイプ1:会員ランク+ポイントシステム

特定期間の累計購入金額や累計購入回数で会員ランクが決まり、ランクによって特典を得ることができます。さらに、購入によってポイントも付与されるプログラムです。ポイントは再購入のきっかけ、ランクアップは顧客の目標となるため、短期的な購買意欲と長期的なロイヤリティの両方を促進できます。

会員ランクを取り入れることで高額商品購入へのモチベーションが生まれやすくなるため、商品単価が幅広い企業・ブランドに相性がよい設計タイプです。また、ポイントによるリピート率向上の効果も期待できます。

顧客は初めに購入によってポイントが付与されることによるインセンティブを得ることができます。さらに、継続的に利用することでランクが上がり、多種多様な特典がより多くもらえるようになるといったメリットがあります。

このタイプでは、ランクとポイントをうまく組み合わせることで効果がより高まります。例えば、ランクごとにポイント付与率を変更したり、ランクがアップしたらポイントを付与するなどです。


【導入している企業・ブランド例】

UAクラブ|株式会社ユナイテッドアローズ

ポイント(UAクラブでは、「UAマイル」)は、購入や顧客のアクションによって付与され、貯めたポイントは、クーポンと交換または寄付に利用することができます。さらに年間の獲得ポイント数で会員ランク(UAクラブでは、「ステージ」)が決定します。


Starbucks® Rewards | スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社

ポイント(Starbucks® Rewardsでは、「Star」)は、購入によって貯めることができ、貯めたポイントはフードやドリンクなどに使えるeTicketと交換できます。また、年間獲得ポイント数によって会員ランク(Starbucks® Rewardsでは、「ステータス」)が評価され、特典を受け取ることもできます。


タイプ2:会員ランクのみ

特定期間の累計購入金額や回数で会員ランクが決まり、ランクによって特典を得ることができるプログラムです。購入金額や回数に直接リンクしたシンプルな仕組みのため、顧客は自身の行動と得られる価値が結びつきやすく、より高額な商品の購入や頻繁な利用を促進することができます。

累計購入金額を条件にする場合は、高単価の商品を購入すると1回でランクがあがることもあります。そのため、商品単価が高めの商材を扱う企業・ブランドと相性がよい設計タイプです。次のランクまでの金額が明確なので、購買頻度は低くても1回あたりの購入単価を上げたい場合にも効果的です。

顧客としては、シンプルな設計のため目指すべきランクに対して必要なアクションがわかりやすいメリットがあります。幅広い顧客層に受け入れられやすい設計です。

このタイプでは、ランクによって特典を工夫することが重要です。例えば、下のランクは再度購入してもらう働きかけをする必要があるため、割引クーポンなどの値引きを特典に設定し、上のランクにはロイヤリティを向上させるために、限定イベントへの招待など特別感のある特典を用意するなどです。



【導入している企業・ブランド例】

Minimal Collective|株式会社βace

1年間の購入金額によって会員ランク(Minimal Collectiveでは「Impact」)のレベルがアップします。ランクに応じて特典を受け取ることができます。


タイプ3:会員ランクのみ(ポイントベース)

特定期間で獲得したポイント数、または、保有しているポイント数によって会員ランクが決まるプログラムです。レビュー投稿やメルマガ登録など、購入以外の顧客のアクションベースでもポイントが付与できるため、口コミ効果による認知拡大を期待でき、さらに顧客との接点も広げることができます。上位ランクの特典を豪華にすることで、ランクアップを目標に顧客が積極的にプログラムに参加することも期待できます。

ポイント獲得手段が多様で、購入にかかわらず顧客アクションによってポイントを貯めることもできるので、商品単価が中〜低めの商材を扱う企業・ブランドと相性がよいです。また、SNSでの発信やコミュニティへの参加など、若年層の行動特性とポイント獲得の手段が一致するため、若年層向けの商材を扱う企業・ブランドで特に効果を発揮します。

顧客としては、購入以外でもランクを上げることができるため、スキマ時間を活用してお得さを獲得することが可能です。

また、企業にとってもメリットが多い施策です。例えば、「レビュー投稿するとポイント付与」を実施する場合、レビューに年齢や体型なども記入してもらうことで、商品に紐づいた顧客データを収集することができます。また、ログインポイントや店舗来店ポイントによって、顧客がブランドに接する時間を増やし、購入を促進する効果も期待できます。



【導入している企業・ブランド例】

クレ・ド・ポー ボーテ メンバーシッププログラム | 株式会社資生堂

ポイントは、購入やアクションで貯めることができ、年間の累計獲得ポイント数によって会員ランク(クレ・ド・ポーボーテでは、ステージ)が確定します。ランクごとに特典として、記念品を受け取ることができます。


Francfranc Rewards | 株式会社 Francfranc

ポイント(Francfrancでは、「Fun!」)は、購入やアクションによって貯めることができ、年間の保有ポイント数で会員ランク(Francfrancでは、ステージ)が確定します。ランクごとにクーポンやセールなどの特典を受け取ることができます。


タイプ4:ポイントシステムのみ

購入すると、次回使えるポイントが付与されるプログラムです。購入以外でも、アクションによってポイント付与することもできます。ポイントを再購入のきっかけにし、リピート率を向上が期待できます。また、定期購入へのアップグレードしたらポイントを付与するといった形で、次のアクションも促すことにも効果的です。シンプルでわかりやすい仕組みのため、比較的短期間で導入できます。

少額のポイントでも再購入の動機づけになるため、商品単価が低めの企業・ブランドに相性がよいです。また、ポイントは、2倍付与などのキャンペーンを開催しやすく、失効予定ポイントの通知もしやすいため、顧客との接点を多く持ちた場合にも効果的です。

顧客としても、次回使えるポイントがあることでわかりやすくお得感を得ることができます。

このタイプでは、柔軟な販促活動が可能です。例えば、商品別にポイント還元率を変えることで打ち出したい商品をアピールすることができます。また、季節イベントなどのキャンペーンでは還元率を上げるなどで自社を選ぶインセンティブを与えることができます。

さらに、ポイント利用は値引きだけではなく、ノベルティや非売品と交換することもできます。交換に必要なポイント数が多いほどよい商品を用意しておくことで、購入を多くしていることで得られる特別感を演出できます。


【導入している企業・ブランド例】

アンファーブルーメンバーズ | アンファー株式会社

ポイントは購入や誕生日などによって付与され、貯めたポイントは商品購入時や提携クリニック・ヘアサロンで1ポイント=1円で利用することができます。

ニトリメンバーズ | 株式会社ニトリ

ポイントは購入で付与され、貯めたポイントは商品購入時に1ポイント=1円で利用することができます。

タイプ5:有料会員制度

定額の会費を支払うことで有料会員になり、会員のみ特別な特典やサービスを受けられるプログラムです。有料会員向けの特別なサービス提供により、顧客との強い結びつきを作ることができます。また、継続的な収益が見込めるため、企業・ブランドの安定した売上にもなります。

特別感を演出することができるため、品質の高さに価値を感じる顧客が多い高付加価値のサービスや商品を提供している企業・ブランドに相性がよいです。また、会員特典として継続的に新しい価値をやコンテンツを提供する必要があり、コンテンツを提供しやすい商材を扱う企業・ブランドがよいでしょう。

顧客としては、企業・ブランドから特別な顧客として扱ってもらえるといったメリットがあります。また、会費を払って企業・ブランドへの貢献を実感することができます。

このタイプでは、会費と特典のバランスに注意しながら設計する必要があります。ターゲット層に応じた会費で、かつ、会費を回収できるぐらいの特典や体験が必要です。うまく運営できれば、熱狂的なファンを増やすことができ、口コミ効果で認知拡大も期待できます。



【導入している企業・ブランド例】

モンベルクラブ | mont-bell
入会金無料/年会費1,500円で、モンベルクラブに入会することができます。入会するとメンバーズカードを獲得できます。また、購入で使えるポイントを貯めたり、提携先サービスの優待を受けられます。


買えるLEON | 株式会社主婦と生活社

月会費5,000円(個人会員)で、Club LEON会員に入会することができます。入会すると専用アプリをインストールし、限定コンテンツを見ることができます。また、特別イベントへの招待などの特典を受けられます。

まとめ

メンバーシッププログラムの基本となる5つのタイプとその特徴をみてきました。どのタイプもそれぞれにメリットがあり、自社の商材や顧客層にあったタイプを選択して、適切な特典を用意することが重要になります。


メンバーシッププログラムは、うまく活用すれば短期的な売上を上げるだけではなく、顧客との間に深い関係を構築し、顧客のLTVを上げたり、認知拡大に貢献したりと、長期的にも売上を上げることが期待できる施策です。

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